阪南中央病院

阪南中央病院小児科のトピックス
小児科医 ( 副院長 ) : 中田成慶
冬は熱性疾患によるけいれんが多発し、外来でけいれんを経験することが増える時期です。熱性けいれんのガイドラインは、古典的(1996)なものですが、現在なお、有効です。けいれん重積状態は、小児科医にとって緊張した対応が必要となりますが、私たちは、2005年発表されたけいれん重積治療のガイドライン(案)にそって、治療しています。外来でのけいれん対策としてのガイドラインのご紹介です。
熱性けいれん
熱性けいれんは、「38度以上の発熱に伴って乳幼児期に生ずる発作性疾患で、中枢神経感染症、代謝異常、その他明らかな原因疾患のないもの」と定義されています。初回の発作は、90%は6ヶ月から3歳に起こります。日本の子どもの有病率は高く、7~8%のぼります。
単純型と複合型
大部分は(約97%)は単純型熱性けいれんですが約3%が複合型熱性けいれんとされています。複合型熱性けいれんとは持続時間が20分以上だったり、24時間以内に2回以上反復したり、発作の形が焦点性であったりするものを言います。複合型の場合には、髄膜炎を含めた、原因精査が必要になります。
単純型熱性けいれんの定義
  • てんかんの家族歴(-)
  • 分娩外傷・その他の脳障害の原因となりうる疾患の既往(-)
  • 発病年齢:生後6ヶ月~6歳
  • 発作持続時間:20分以内
  • けいれんは左右対称性で、巣症状(-)
  • 発作終了後の持続性意識障害(-)、片麻痺(-)
  • 明らかな神経症状、知能や精確障害(-)
  • 発作が短時間、24時間以内に群発することはない
熱性けいれんの治療
ガイドラインは以下のように勧告しています。
  • 無治療=自然放置が望ましい場合
  • 過去の熱性けいれんが1~2回で、単純型のとき
  • 発作時抗けいれん薬間欠投与=発熱時、ダイアップ座薬の応急投与が望ましい場合
  • 複合型熱性けいれんで、けいれんを過去に2~3回以上反復しているとき
  • 抗けいれん剤持続投与が望ましい場合
  • 複合型熱性けいれんで、2の治療に無効、さらにけいれんを3回以上反復
  • バルプロ酸20~30mg/kg分2 または フェノバルビタール3~5mg/ kg分2
私たちも、このガイドラインにそって、対応していますが、持続的な投薬を行う症例は殆どありません。ダイアップ座薬を8時間間隔で、2回使用するやり方は、幸いふらつき、眠気による転倒の危険が高まる以外の副作用は殆どなく、熱性けいれんの確立された予防法として、繁用されています。
けいれん重積治療ガイドライン
「小児けいれん重積状態の診断・治療ガイドライン(案)」に沿って、けいれんを止めることを重点に、治療法が選択されます。けいれん重積は止痙後、脳症・脳炎・髄膜炎など中枢神経の疾患を鑑別する必要があります。また、重積と意識レベル低下が続く場合は、3次医療機関(pediztric ICU)への、紹介・転送が必要となります。
到着時けいれん なし
  • A反応良好(意識正常)
  • →観察
  • B反応不良(レベル低下)
  • →気道確保・バイタルサイン →血管確保・検査
到着時けいれん あり
  • 気道確保・バイタルサインチェック
  • A血管確保 不可
  • →ミダゾラム鼻腔/口腔、筋注 無ければジアゼパム注腸
  • B血管確保
  • →ジアゼパム静注
ジアゼパム無効の場合
  • ミダゾラム1回量0.15mg/kg 1分間1mgで静注
  • Aけいれん消失
  • →ミダゾラム維持療法(0.1~0.15mg/kg/時で持続投与) →2~3時間ごと減量、中止へ
  • Bけいれん持続または再発
  • →フェニトイン18~20mg/kg(50mg/分以下で)IV
  • けいれん持続の場合、バルビツレートによる治療(呼吸管理が前提)
ミダゾラムの使用
ミダゾラムはジアゼパムと同様に速効性があり、有効性が高く、ジアゼパムにかえて、第1選択にする施設が増えてきています。
粘膜への刺激がなく、粘膜からも吸収されるため、口腔や鼻腔に0.3mg/kg注入することも可能です。静脈投与では、0.1~0.15mg/をゆっくり静注し、止痙すれば、0.1mg/kg/時間で持続投与し、2~3時間ごとに0.05mg/kg/時間ずつ減量・中止していきます。
けいれん止まったら、原因検索・診断へ
通常1歳6ヶ月以上では、髄膜炎の場合、髄膜刺激症状が現れるとされています。逆に、1歳6ヶ月未満では、髄膜刺激症状なしに髄膜炎を判断する必要があるわけです。
髄液検査は、6ヶ月未満のけいれんでは、全例に髄液検査を行う気構えが必要です。6ヶ月~1歳6ヶ月では、血液検査で細菌感染を否定できない場合に、髄液検査を行うことが提案されています。
けいれんが治まり、覚せいしたら、意識レベルを確認して、帰宅させることができます。意識低下が遷延する場合は、注意が必要です。
参考 :
小児救急治療ガイドライン 診断と治療社(2007)
熱性けいれんの指導ガイドライン(1996)
小児のけいれん重積状態の診断・治療ガイドライン(案)
H16厚生労働科学研究報告書