阪南中央病院

阪南中央病院小児科のトピックス
小児科医 ( 病院長 ) : 中田成慶
2010年5月~7月には、リンパ節が腫大する疾患の子どもが多数入院されました。①川崎病 ②化膿性リンパ節炎 ③組織球性壊死性リンパ節炎などです。小児のリンパ節腫大の原因は、このほかには④伝染性単核症があります。
川崎病
川崎病は6月には7例、7月3例と多発しました。皆さん後遺症なしに沈静化しています。耳下腺炎と診断され、後で冠動脈瘤が判明し、不全型の川崎病であったと考えられる症例の報告が散見され(日本小児科学会雑誌6月号地方会報告など)、耳下腺との区別は重要です。乳児の頚部リンパ節腫大は、圧倒的に川崎病が多いことを知っておく必要があります。
【症例1】 2歳5ヶ月 男児 川崎病
5月24日:
熱7日間、手掌紅斑、頚部から後頭部にリンパ節腫のため首の運動制限あり(エコー検査で両側頚部から後頭部に20個以上のリンパ節が隙間なくびっしりと腫大)。

5月26日:
結膜充血と口唇乾燥亀裂が出現、川崎病5/6の確定診断。γグロブリン2g/kg投与で沈静化。
川崎病図1
【症例2】 5ヶ月 女児   川崎病
6月16日:
16日から熱

6月18日:
右頚部リンパ節腫大(エコーで血流の多い1.5cm以下のリンパ節20個以上)、痛みと首の運動制限あり。発疹、結膜充血、口唇亀裂とBCG部の発赤の増強を伴う。川崎病5/6の診断で、γグロブリン2g/kg投与し、沈静化
川崎病図2
化膿性リンパ節炎
化膿性リンパ節炎は、感染巣に所属したリンパ節の腫大によるものが殆どです。幼児で扁桃腺炎や扁桃周囲膿瘍に伴う症例がありました。猫ひっかき病はいつも気にかけてはいますが、抗体検査が商業ベースでできないため、実際に診断したことはありません。
【症例3】 6歳 女児   扁桃周囲膿瘍、化膿性リンパ節炎
7月15日:
熱。その後、熱が続き、咽頭痛と右耳下部の腫脹疼痛を伴うようになる。

7月20日:
入院、CRP8.0mg/dl、白血球9700(好中球80.5%)、エコー検査で扁桃の腫大及び扁桃周囲膿瘍形成(+)、右頚部リンパ節多数腫大。ABPC/SB投与

7月25日:
下熱、(有熱期間10日間)、膿瘍消失、リンパ節も縮小。
川崎病図2
【症例4】 2歳2ヶ月 女児  溶連菌による扁桃炎及び頚部リンパ節炎
7月26日:
熱咽頭痛。

7月27日:
熱、咽頭痛が続き、約1cmの頚部リンパ節腫大多数出現。咽頭及び軟口蓋は発赤著明、溶連菌迅速検査(+)。CRP4.0mg/dl 白血球21800(好中球72%)。抗生剤投与

7月27日:
下熱。抗生剤は10日間投与予定。
組織球性壊死性リンパ節炎
亜急性壊死性リンパ節炎、菊池病とも呼ばれます。リンパ節腫大を伴う長期の熱で、エコー検査で、血流の多くない壊死組織(膿瘍化しない)が混在するリンパ節が描出されると診断の根拠となります。しばしば、好中球減少、血小板減少、肝機能障害などを伴います。self-limitedな疾患とされますが、治癒に2ヶ月を要するものもあり、副腎皮質ホルモン剤が使用されます。血球貪食症候群と同様にフェリチン上昇が見られますが、軽度です。当小児科では、1年に2・3例です。
【症例5】  11歳  女児  組織球性壊死性リンパ節炎
6月20日:
熱。

6月30日:
熱以外の症状がない「不明熱」として、ご紹介にて受診。腋部の痛みを訴える。頚部、腋窩部に有痛性、約1.5cmの数個のリンパ節を触知。CRP3.1mg/dl、白血球4000(Band32%, Seg20%)血沈15/38 フェリチン212(~152)
川崎病図2
7月3日まで経過観察したが、熱が続き、学校を休む期間が長くなることを考慮して、プレドニン30mg/日投与開始、翌日には下熱、プレドニンは12日間のスケジュールで漸減・中止した。
伝染性単核症
偽膜性扁桃炎、頚部リンパ節腫大、肝脾腫が特徴的で、self-limitedな経過をとる予後良好な疾患です。EBウイルスは咽頭上皮、唾液腺上皮などで増殖し、唾液中に排泄され、飛沫を介して感染します。初感染の年齢は、徐々に高くなる傾向にあるとされています。
【症例6】 11ヶ月  男児  伝染性単核症
2009年6月1日38.8度、咽頭発赤。6月3日熱が続く。頚部リンパ節1cm数個、肝4cm、脾5cm、CRP1.0mg/dl、白血球41900(リンパ球30.5%、異型リンパ38%)AST273
ALT163 LDH935。伝染性単核症の診断に当てはまるが、白血球数が極端に多く、悪性疾患の疑いもあるため、近大小児科に転院していただく。経過は良好で退院。
急性期(6月)の検査でEBVCAIgM(±) EBNA(―)、9月治癒後の検査でEBNA(+)となり、EBウイルス感染による伝染性単核症と診断された。