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Medical guidance

6月の小児科画像

小児科医 ( 病院長 ) : 中田成慶

症例1 1才0ヶ月 9kg 男児 熱性けいれん断続4回とけいれん重積

熱と咳で発症  第3病日Sクリニック受診、年令と下気道炎からマイコプラズマ感染症が疑われ、オゼックスを処方されていた。第6病日 熱が続き、咳がひっきりなし。胸部レントゲン検査で、左上葉の大葉性肺炎(および無気肺)と右肺中部の肺炎あり(画像1)。CRP 13.3mg/dl 白血球7600、マイコプラズマPA抗体価40倍。ご紹介にて入院。マイコプラズマ肺炎+細菌感染による重症肺炎と診断し、MINO+{DRPM→ABPC/SBT}で治療。治療開始後4日目(第9病日)に解熱。その後咳も徐々に軽減。第6病日マイコプラズマ抗体10240倍以上に上昇。8日間で退院。(画像2)

マイコプラズマ肺炎の流行は約4年ごととされていますが、今年は散発的に発症しており、今年~来年にかけ増加するものと予測されます。治療のファーストチョイスはマクロライドですが、近年耐性化が進み、この症例のように治療抵抗性と重症化に注意が必要です。代替策としては、8歳以上ではミノマイシン、それ以下ではオゼックス(時にビブラマイシン)、重症例にはステロイド剤の併用が行われます。

日本小児科学会雑誌2015年5月号に、マイコプラズマ肺炎の難治化の予測として、LDH : 441IU/L、AST : 54IU/L、フェリチン207ng/mlが報告されていますが、この症例では、LDH 342、AST 35、フェリチン 241で、カットオフ値を上回っていたのはフェリチンのみでした。

膀胱尿管逆流現象 急性腎盂腎炎 生後2ヶ月未満 女児

生後2ヶ月未満の熱、第2病日初診:sepsis workup実施。白血球16400、CRP 5.15mg/dl、髄液検査 細胞数12/μl、カテーテル尿採取:蛋白(—)、尿潜血(—)、白血球(0)、フォーカス不明の細菌感染症として入院、尿培養検査提出後、抗生剤投与開始、治療に反応し解熱。
入院後、腹部エコー検査で左下部尿管の拡大と左腎盂拡大を認める(画像3、4)。尿培養検査で腸球菌を検出。膿尿を認めない尿路感染症と診断。
第12病日 逆行性膀胱造影検査を実施(画像5)。



生後3ヶ月未満児の発熱では、約10%に重症細菌感染症が存在します。尿路感染症はその最大の原因ですが、この症例も白血球尿が認められないながら、尿路感染症でした。Sepsis workup、迅速検査キット(髄液中)を行いながら、重症例を見逃さない慎重な対応が必要となります。カテーテル尿で、白血球尿は認めませんでしたが、菌の培養結果は腸球菌106が培養されました。

転落による鎖骨骨折 4ヶ月 女児

寝返りを始めたばかりで、ベッド柵をはずしていて油断した瞬間に、60cmに畳に転落し、直後に強く啼泣、右上肢を動かさない、脇を持ち抱き上げると嫌がるため、受診。診察時、おもちゃに手を出しつかむことができ、右上肢の動きも改善していた。レントゲン検査を行った結果、右鎖骨骨折であった。(画像6)

右上肢の動きは改善してきており、肘内障の自然整復と考え、レントゲン検査の必要があるか迷うぐらいでした。転落が原因であり、脇で抱くと痛がるそぶりから、レントゲン検査を行い、見逃してそのまま帰すミスを免れました。

病原性大腸菌O-157腸炎 5歳 女児

下痢と嘔吐で発症

第3病日 :
肉眼的血便となる。腹痛は強いが、独歩は可能。Hクリニックからのご紹介で入院。便培養実施。腹部エコー検査で回腸末端から直腸付近まで粘膜下層を中心とする壁肥厚(画像7、8)。
第6病日 :
便検査で病原性大腸菌検出、翌日ベロ毒素陽性が確認され、保健所に届出。原因食材の特定はできていない。

この季節、18歳の同様の血便、O-157腸炎を経験しています。季節柄、細菌性食中毒への警告が必要となっています。二人とも、血便と強い腹痛がありました。HUS発症なしに軽快しています。