診療案内

Medical guidance

異物誤飲

小児科医 ( 病院長 ) : 中田成慶

5円玉の誤飲

【 症例1 】 2014年10月事例

  • 2歳5ヶ月の男の子
  • 事故の原因物
    5円玉
  • 状況
    母親の見ているところで、口に入れていた5円玉を飲み込んだ。K医院受診、腹部レントゲン検査で、胃内にコイン(+)。自然排出を期待し、経過観察。3日間、便からの排出がなく、なお、胃内に残存しており、ご紹介いただく。
  • 対処
    3日間、胃からの移動がないことから、仮に幽門通過した場合に、回盲弁での停滞、閉塞などの危険性を考慮し、内視鏡的な除去が望ましいと判断。
    ミダゾラム投与で鎮静し、内視鏡で、胃内の黄金に輝く5円玉を確認し、バスケットでくるみ取り出す。

異物誤飲では、タバコ、医薬品(水薬・錠剤)、ビー玉、シール、シャボン玉液、ボタン電池、紙、コイン、乾燥剤・脱酸素剤、ペットボトルの蓋などが多くを占めます。

【 症例2 】 あんしんねっと48号(2010年1月)

コインの誤飲事故として、あんしんねっと48号(2010年1月)の、2歳11ヶ月のゲームセンターコインの誤飲で、上部食道に停滞し、内視鏡で除去した写真を再掲します。これも内視鏡的に取り出しました。

口に簡単に入って誤嚥・誤飲する危険の指標として39mmの筒をくぐりぬけるものは誤飲の原因となり、乳児の遊び道具としては適さないとされ、誤飲チェッカーが市販されています。最新の国際基準では「直径44.5mmの円を通り抜けるボール状の玩具は、誤嚥の危険があり、36ヶ月以下に適さない」とより厳しい基準が採用されてきています。口にやっと入る大きさのものは、後咽頭全体を閉塞させ、窒息の危険があるため特に危険です。ボール型、楕円形など、誤嚥しやすく、飲み込んだら取り出すことが難しい玩具対策を、国際基準で洗いなおす必要があり、検討が進められるものと思われます。

タバコ誤飲

タバコは誤飲事故では最も多い原因の一つです。2cm以下であれば、観察のみでよいとされています。しかし、缶ジュースなどの液体にタバコが浸された液を子どもが飲むと、急激な中毒症状が現れることになりますし、吸殻だとどれぐらい誤飲したかが不明で、胃洗浄を行う場合もあります。

【 症例3 】 2014年8月事例

  • 10ヶ月 男の子
  • 状況・対処
    いつもと違う泣き方で、母親がタバコ誤飲に気付く。コーヒー缶にタバコの吸殻が3本入っていたはずだが、缶の中には1本しか残っていなかった。缶に幸い液体は残っていなかった。誤飲が分かって約1時間後に当科を受診、意識は正常、頻脈なし、顔色異常なし。誤飲の量が不明なため、胃洗浄を実施。
    乳白色ミルク排液、タバコ臭なし、炭のようなタバコの灰と思われるものを少量認める。中毒症状の危険はないと判断し、帰宅していただく。

タバコは、誤飲の原因となりうるだけでなく、副流煙が、乳幼児突然死症候群の危険を高めたり、呼吸器疾患を悪化させたりすることが明らかで、タバコの煙、タバコそのもの、タバコの吸殻を子どもから遠ざける努力をもっと普及しないといけないと考えます。

水薬:薬物誤飲

【 症例4 】 2014年9月事例

  • 3歳1ヶ月 女の子
  • 状況・対処
    鼻水止めとして処方された、アリメマジン酒石酸シロップ(アリメジン)20ml(5日分)を一気に誤飲。40分後、当科受診、応答は可能であるが、少しボーッとしている。JCS1の状態。入院とし、持続輸液で観察。翌日、特に問題なく退院。

水薬の一気のみを予防するために、子どもでは簡単に明けられないキャップを装着して、処方することが義務化されることが必要ですが、開閉の煩雑さも手伝って、まだ普及していません。
子どもの薬物誤飲のパターンは、水薬の一気のみと同様に化粧品やボトル入りのあらゆる液体が誤飲の対象となります。

PTPシートのまま服用し、小腸穿孔から腹膜炎発症事例

【 症例5 】 82歳 女性  脳梗塞後遺症 認知症

  • 在宅で、ワーファリンをはじめ5種類の錠剤を服用していた。
  • 嘔吐が出現、2日後、腸閉塞で、当院へ入院。熱、フリーエアあり、腹部CT検査で、腸管内にPTPシートと思われる像を認める。PTPシートの角での腸管損傷による穿孔性腹膜炎と診断。手術で、右下腹部で小腸内にPTPシートを発見、小腸を切開し取り出す。

大人の服薬にも事故の危険性があることを教えられました。ちなみに、PTPとは、press through packの略で、表から押すと裏から錠剤が飛び出る包装で、台紙には硬い素材が使われており、1錠分をはさみで切ると鋭利な角ができてしまいます。
子どもの事故としては、錠剤の誤飲は、わざわざ薬袋から取り出してなめる・誤飲するという確信犯的な誤飲パターンから、大人が食後に服用するためにテーブルにおいてあったものを誤飲する、落ちていた錠剤を誤飲するなど、予想もしない誤飲事故まで、数多くの例が報告されています。
薬剤の管理には、飲み忘れを防ぐための注意だけでなく、誤飲を予防に管理をしっかり行うよう気を配る必要があります。

丸のままのミニトマト、ピーナッツの危険性

以前、ピーナッツによる気道吸引例を経験し、3歳ぐらいまでの子どもにピーナッツをはじめとするナッツ類は危険で、避けるべきとの文章を書き、最近の子ども雑誌に再掲されました。
丸のままのミニトマトの誤飲の危険性についても指摘されています。スーパーボールを2個口にいれ、窒息した例があり、ミニトマトもその例を連想させるからです。ミニトマトは皮が硬く、まん丸で、口の中で転がして遊ぶ子もあり、上手に噛むことが難しい子ども多いので、切って食べさせる、手間はかかるけれど湯むきするなどの配慮も必要になると考えられます。深刻な結果を効果的に予防するセンスが問われます。

(追加) 小児の肝損傷 : つまづき転倒・腹部打撲による

あんしんねっと98号(2014年3月1日)で、写真①のような車椅子のためのスロープを、横に走り渡ろうとして、手前でつまずき転倒し、反対側のスロープの縁で腹部を打ち、肝損傷をきたした症例を報告しました。2ヵ月後には、写真のような手すりが作られ、2度と同じ事故が起こらないような対策がとられていました。深刻な結果を効果的に予防するという小学校の迅速な対応に敬意を表します。