診療案内

Medical guidance

予防接種 2013/2014

小児科医 ( 病院長 ) : 中田成慶

2013年の予防接種法改正と副作用報告

2013年4月実施で予防接種法改正が行われました。現場での診療に関する事項では①定期接種にHibワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頚癌予防ワクチンが追加=生後2ヶ月でワクチンデビューを! ②BCG接種の標準接種年齢の変更:5ヶ月に達した日から8ヶ月に達するまでの間 ③日本脳炎の特例対象者(20歳未満まで接種可)と新規対象者(1995年4月2日~2007年4月1日生まれ)の決定 ④疾患等で定期接種を受けられなかった人の救済措置 ⑤副反応報告(義務化)制度 などが主な点として挙げられます。3月27日付で、松原市からは、予防接種取り扱い医療機関宛に、この改正に基づいた事務連絡が行われました。

副反応報告書の実際

副作用報告基準は以下の表にまとめられています。

実際に私たちが経験した副反応は、3種混合によるけいれん重積(死亡)、MRワクチン後のITP、BCGによるアナフィラキシー、全身播種性BCG感染症(INH、RFPを1年6ヶ月間使用)、BCG皮膚結核様病変、BCG菌による化膿性リンパ節炎などです。この報告制度によって、副反応の実態がより正確に把握でき、予防接種がより安全に行われるデータになることを期待します。

小児科学会が推奨する予防接種、合併症を持つ子どもの接種

ワクチンで予防できる感染症(vaccine preventable diseases)はワクチンで予防するという立場で推奨予防接種スケジュールを公表しています。松原市医師会のペリネイタルビジット事業で私も参加して作成した冊子『赤ちゃんのいる暮らし』でも日本小児科学会の推奨スケジュールを取り上げ、2ヶ月からのワクチンデビューをお勧めしています。2013年11月から、結合型肺炎球菌ワクチンが7価から13価に切り替わるマイナーチェンジが行われました。
また、合併症を持つ子供の予防接種について学会の各分科会の考えが予防接種ガイドラインに反映されています。日常診療の中でいつも問題になる合併症を持つ子供に対する予防接種の基本的な考え方です。

低出生体重児・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・暦年令で接種を推奨
熱性けいれんの既・・・・・・・・・・・・・・・・・・最終発作から2~3ヶ月
てんかんの既往・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最終発作から2~3ヶ月程度
免疫グロブリン大量療法・・・・・・・・・・・・・・生ワクチン6ヶ月

※ 効果の弱いステロイド外用・吸入ステロイド・点眼は、通常ワクチン接種の禁忌となるほどの免疫抑制は起こさない。

川崎病(及びITP)大量免疫グロブリン療法後の予防接種

予防接種ガイドラインでは、大量免疫グロブリン投与後では生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪等)は6ヶ月、それ以下の量では3ヶ月と提案されています。アメリカ小児科学会のRed Book2012では、11ヶ月間隔が推奨されています。
剤の医薬品情報(添付文書)では次のような記載になっています。

非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、風疹ワクチン、麻疹・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン、水痘ワクチン等)本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られない恐れがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3カ月以上延期する(また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3カ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい)
なお、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、川崎病、多発性筋炎・皮膚筋炎、多巣性運動ニューロパチー(MMN)を含む慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)、全身型重症筋無力症、天疱瘡に対する大量療法(2000mg/kg以上)後に生ワクチンを接種する場合は、原則として生ワクチンの接種を6カ月以上(麻疹感染の危険性が低い場合の麻疹ワクチン接種は11カ月以上)延期する(本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱される恐れがある)

今年7月に川崎病で大量免疫グロブリン治療を行ったMRワクチン2期対象の子ども(来年小学1年生)には、麻疹が流行していないことから、11ヶ月後のMRワクチンが望ましいと考え、小学校入学後の2014年6月以後のMRワクチン接種をお勧めしました。予防接種法の改正で、「長期に渡る疾患等のために定期接種を受けられなかった人が、接種できない理由がなくなった日から2年間を定期接種の対象者とする。(施行日2013年1月30日)」との救済策がとられることになったからです。現在、市当局に対してワクチン接種が行えるよう意見書を提出しています。この制度では、実際の接種は、大阪府医師会の予防接種センターに依頼することになっていますが、当院で接種できるよう配慮をお願いしています。

卵アレルギーとワクチン

インフルエンザワクチンに含まれる卵白アルブミン量は数ngときわめて微量でWHOの基準10μgに比べ遥かに少ないとされています。麻疹・おたふく風邪ワクチンは鶏の胚細胞で増殖させるもので、卵白成分はさらに微量です。ですから、卵成分を食べているような軽症の卵アレルギーの子どもには、ワクチンは禁忌ではありません。
しかし、稀に重篤なアナフィラキシーがおこることが報告されています。1990~2005のアメリカでのワクチン副反応報告システム(Vaccine Adverse Events Reporting System :VAERS)で4例のインフルエンザワクチン接種のアナフィラキシーによる死亡報告があります。
そこで、アメリカの予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)からは、2013年6月7日付けで、次のような勧告が出されています。

予防接種ガイドライン2008では、アナフィラキシーの危険を避ける工夫として、卵アレルギーを持つ子どもに対して、以下のようなワクチン液による皮内反応を行う方法が示されています。私たちも、卵を食べて強い反応が出た既往のある子ども、これまで卵を完全に除去してきた子どもに対しては、このやり方を踏襲し、インフルエンザワクチン、MRワクチン、おたふくかぜワクチンでの希釈液で皮内テストを行ったうえで接種法を決めています。