診療案内

Medical guidance

冬の小児科ミニカンファレンス

小児科医 ( 病院長 ) : 中田成慶

抗インフルエンザウイルス薬の最近の知見
異常行動への注意と出席停止期間

長期持続型の2剤を含めて、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの4剤が使用可能です。4剤の効果はほぼ同等との報告が出されています。
昨シーズン、イナビルによる飛び降り・死亡例の報告があり、12月17日付で医師会より「抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意に関する注意喚起の徹底についてのお願い」が発せられています。この点について、川崎医大小児科中野教授は12月20日大阪での講演会で以下のようにまとめておられます。参考にして下さい。

  • 事故につながったり他人に危害を加えたりする可能性のある異常な行動は、男性、10歳代、投与して2日以内の発症が多かった。
  • 2011/2012シーズンにおいて、男性、10歳代のB型インフルエンザ患者で、イナビル投与後約7時間に転落・死亡した症例が1例報告された。
  • 一方、家族や親が制止することで、事故につながるような行為を未然に防ぐことができたと推察される事例も含まれていた。
  • 未成年者に対して実施している2日間は一人にしないという安全対策は、事故を未然に防ぐ観点から、継続することが望ましいと考えられた。

長時間作用型で、1回の吸入ですむイナビルの処方が増えると予想されますが、ノイラミニダーゼ阻害薬では、どの薬剤でも異常行動の危険性があるとの報告です。10歳代・男性のインフルエンザ罹患時には、どの種類の薬を使用する場合でも、発症2日間はできるだけ、目の届くところで観察するのが望ましいとの注意喚起です。
出席停止期間については、今年4月に規則が変更されています。「第二種感染症の出席停止期間(学校保健安全法施行規則2012年4月改訂)」では次の通りです。

インフルエンザ(学  校):
発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日間を経過するまで
インフルエンザ(幼稚園):
発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後三日間を経過するまで

(あんしんねっと80号9月1日発行参照)

マイコプラズマ肺炎

8歳未満の初期治療はクラリスロマイシン15mg/kg/日 分2
マイコプラズマ肺炎の流行とマクロライド耐性が進む中、78号(2012年7月1日発行)の小児科トピックスでとりあげました。 ①ファーストチョイスはあくまでもマクロライド ②ニューキノロンは耐性誘導の点から第1選択とすべきでない ③8歳以上はミノマイシンの使用 ④重症化や長期化例にはステロイド剤の全身投与を併用、などが骨子でした。
2012年11月の小児感染症学会でも、重要な話題として議論され、8歳未満の初期治療はクラリスロマイシン15mg/kg/日 分2で開始することが提案されました。私達も、これに沿って、CAM15mg/kg/日で治療を開始し、解熱しない場合、ニューキノロン(重症例ではミノマイシン)への変更を行うというスタンスを取ることとしました。

百日咳のPT抗体、FHA抗体の意味

76号(2012年5月1日発行)で、山口株抗体・東浜株抗体から、PT抗体の測定変更について取り上げました。PT抗体と合わせて、FHA抗体測定も行われ、結果が報告されます。PTとは、百日咳毒素pertussis toxin(PT)、FHAとは、百日咳繊維状赤血球凝集素filamentous hemagglutinin(FHA)のことです。FHAは、パラ百日咳菌表層にもあるため、パラ百日咳菌感染の場合、PT抗体:低値、FHA抗体:上昇パターンとなります。百日咳の診断の根拠には、PT抗体のペア血清測定が重要です。診断基準を再掲します。
百日咳は、治療開始後5(~7)日で、菌陰性となるので、学校保健安全法では5日間の服薬で、登校禁止が解かれることになっています。

(あんしんねっと80号9月1日参照)