診療案内

Medical guidance

外来でのアナフィラキシー

小児科医 ( 副院長 ) : 中田成慶

即時型アレルギー反応で、全身の紅斑・蕁麻疹をきたして、受診される症例を経験することは稀ではありません。5分から30分単位で急速に進行する反応に対して、エピネフリン、副腎皮質ホルモン剤(経口・静脈)、抗ヒスタミン剤など適切に使用する必要があります。

最近の3症例

2才 男 小麦アナフィラキシー

卵・小麦アレルギーの既往あり

  • 12月17日
    保育所で誤ってビスケット5枚を食べる。直後から、皮膚紅潮・咳・喘鳴が出現
    Iこどもクリニック受診。
    • エピクイック0.1ml皮下 嘔吐・皮膚紅潮改善せず
    • エピクイック0.05ml皮下 追加投与
    • ソルコーテフ・アタラックス点滴で、当科へご紹介いただく
    • 来院時には、皮膚紅潮軽度、呼吸器症状は消失。

6ヶ月 男 枝豆アレルギー

もともと牛乳・卵アレルギー(発赤)

  • 6月8日
    朝、初めて枝豆をすりつぶして食べさせる。
    直後に口の周りに発赤。
    昼過ぎから、元気がない、便が粘液を伴った鮮血便。
  • 6月9日
    血便は消失、元気回復。

4才 男  くるみ

もともと卵、牛乳は完全除去 小麦は少量摂取→増量中

  • 10月13日
    朝くるみ饅頭を食べ、直後から全身のかゆみ、じんましん、顔面蒼白、元気がなくなる
    U小児科診療所で、元気がなく、脈が触れにくい=ショック  喘鳴や呼吸困難は認めない
    ソルコーテフの点滴を受けながら、救急車で当院へ搬送いただく。
    →午後には、じんましんがわずかに残るぐらい。

  • 10月14日
    症状はなく、退院。

インターネット上で集計されているアナフィラキシーの原因別ヒット数は以下のようになっています。

ハチ毒(2736) 卵(1130) 牛乳(169) 小麦(814) ソバ(931) イクラ(403)
エビ(1999)  ピーナッツ(949) 薬物(2147) ラテックス(533)

イクラに対するアナフィラキシーが卵の3分の1ぐらいにあり、意外に多い感じをもちました。
ラテックス・アナフィラキシーはゴムに含まれる蛋白質に対するアレルギーで、バナナ・アボカド・キウイ・クリ(スギ・白樺)などとの交叉性があり、注意が必要です。
最近、ハムスターにかまれたためのハムスター・アナフィラキシーが報告されています。

日本小児科学会「食物アレルギー診療ガイドライン」

2006年7月号の日本小児科学会雑誌(Vol.110.No.7,July 2006)にガイドラインが掲載されています。ガイドラインによる「即時型アレルギー反応の時間経過を追った症状の起こり方とその対応」は以下の通りです。

アナフィラキシーへの対応のまとめ

  • 酸素・気道確保
  • 0.1%エピネフリン筋注(または皮下注) 15分間隔
    体重30kgまで 0.01mg/kg/dose
    体重30kg以上 0.3mg/dose
  • 抗ヒスタミン剤(ポララミン・アタラックス)iv
  • ステロイド剤
    プレドニゾロン内服1~2mg/kg
    ソルメドロール静注 1~2mg/kg
  • β2刺激薬 吸入の繰り返し

ハチ毒による呼吸困難は上気道狭窄に基づく呼吸困難が主であるので、エピネフリン(エピペン)が有効とされています。
一方、食物アレルギーに基づくアナフィラキシーでは下気道狭窄に基づく呼吸困難が主であるため、β2刺激薬吸入やステロイドの全身投与のほうが重要との考察があります。(Pumphrey RHS:Lessons for management of anaphylaxis from a study of fatal reactions.Clin Exp Allergy 30:1144-1150,2000)。小児での運動誘発性アナフィラキシー致死例は、喘息死であることが多いと報告されています。
いずれにしても、エピネフリンとステロイド剤を併用し、喘鳴が目立つ場合には、β2を併用、少なくとも4時間は慎重に経過を観察することが重要なようです。で、0.15ml と 0.3mlの2種類の製剤があります。ペン型注射器に内蔵されたエピネフリンを、アナフィラキシーにおちいったとき、自分の大腿外側に筋注するためのものです。
実際の使用時には、エピペンをわしづかみに握り、後の安全キャップを外し、大腿外側におしつけ10数える(押し付けると針がでて、そのあと10数える間に、エピネフリンが注入される)、消毒なしで、服の上から注射もOKとされています。15℃~30℃の常温保存で、持ち歩き可能、有効期限は製造後20ヶ月です。
実際にアナフィラキシーを起こす危険が高い場合に、携帯をお勧めすることになります。
日本小児アレルギー学会は「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対応マニュアル 小・中学校編(https://www.iscb.net/PSPACI/i-download.html)」を作成し、その中で学校でのアナフィラキシー対策のために、携帯を望む子どもへの学校側のサポート体制を作るよう推奨しています。『アナフィラキシー症状に対しては、早期のエピネフリン投与が不可欠であり、できれば初期症状(原因食品を摂取して口の中がしびれる、違和感、口唇の浮腫、気分不快、吐き気、嘔吐、腹痛、じん麻疹、せきこみなど)のうちに、ショック症状が進行するまえに自己注射することが望まれる。』としています。