診療案内

Medical guidance

ワクチン 2008

小児科医 ( 副院長 ) : 中田成慶

今年のワクチンのトピックスは、MRワクチンの3期、4期接種が始まることです。MRワクチンのMMR化、水痘ワクチンの定期接種への組み込み、Hibワクチンの導入など、検討課題は山積していますが、先ずは1期〜4期の各段階でのMRワクチンの接種率を100%に近づける努力が重要だと考えます。

麻疹全数報告と中学1年及び高校3年でのMRワクチン接種

近隣では07年11月以降、麻疹の流行が続いています。感受性者に対して、接触72時間以内なら、緊急ワクチン接種を、6日以内なら(場合によってはそれ以後でも)ガンマグロブリン筋注を行う対応は、かなり定着してきました。しかし、麻疹感受性者の現状からは、現状では麻疹の流行が続くことは避けられません。
そこで、2007年8月、厚生労働省は、2012年の麻疹排除(Elimination)を目標に、「麻疹排除計画」を策定しました。計画内容は次の通りです。

  • 2008年1月1日から麻疹と風疹は、それぞれ全数把握疾患に変更されます。
    全ての医療機関において、麻疹と風疹を診断した場合は、保健所に全て届け出てください。
    麻疹については、可能な限り24時間以内に届け出てください。
  • 2008年4月1日から5年間の期限付きで、麻疹と風疹の定期予防接種対象が、現在の第1期(1歳児)、第2期(小学校入学前年度の1年間にあたる児)に加え、第3期(中学1年生相当世代)、第4期(高校3年生相当世代)に拡大されます。
    対象にあたる方々は、忘れずに接種を受けましょう。

3種混合ワクチン(DPT)

成人での百日咳の流行が拡大しています。2年前には、天美公園で、樹の枝でけがをした小学生が破傷風になりました。ジフテリアは現在の日本では流行はありませんが、ワクチン接種が重要です。
DPT三種混合ワクチンは、接種回数が多いために、正確に期日通り接種が受けられない場合が出てきます。このワクチンの「乱れ」に対してきめ細かな対処が求められます。

Ⅰ期の乱れ

原則、Ⅰ期2回と追加1回で基礎免疫はできる。

  • Ⅰ期初回1回接種後、8週間以上経過した場合
    →2回目はなるべく早く接種、2回目の3~8週後に3回目を接種
    →その後、定期の間隔(12~18か月後)で追加接種(90か月まで)
  • Ⅰ期初回2回の後、8週間以上経過した場合
    →2回目から6か月以内なら、Ⅰ期初回3回目を接種
    →その後、定期の間隔(12~18か月後)で追加接種(90か月まで)
    →2回目から6か月以上なら、定期の間隔(12~18か月後)で追加接種(90か月まで)
  • Ⅰ期初回3回接種後、2年以上経過した場合
    →生後90か月以内にⅠ期追加接種
    →90か月を過ぎている場合は、Ⅱ期としてDT 0.1mlを接種

Ⅱ期の乱れ

原則、DPT合計3回(任意)+DT

  • 90か月を超えて、1度もDPT接種を行っていない場合
    →DPT0.5mlを3〜8週間隔で2回+6〜12ヶ月後に1回(全て任意)

百日咳罹患後のDPTワクチン

DTワクチン接種で良いのですが、任意接種となります。百日咳の免疫を保有している人にDPTワクチンを接種しても、副反応が増強することはないとされています。現状では、DPTワクチンを規定通り接種することになります。

ポリオワクチン

ポリオ生ワクチンには、ワクチンによる麻痺、ワクチン変異株の流行による麻痺などの問題で、世界的に不活化ワクチンに切り替えが進んでいます。我が国でも、近い将来、不活化ワクチンへの切り替えが行われる計画になっています。しかし、まだ、実用化のめどがたっていないため、今しばらくは現行の生ワクチンの服用が続きます。

日本脳炎ワクチン

2005年5月以降、日本脳炎ワクチンの積極的勧奨が中止されています。しかし、ネズミの脳を使用しない新しい(組織培養)ワクチンの開発に、予想外の遅れが生じ、実用化には未だ数年かかるとされています。
日本脳炎ワクチンの勧奨中止以後、幸い日本脳炎の多発、流行は認められていませんので、新しい安全なワクチンを待たざるを得ません。

B C G

2005年から、生後4ヶ月の検診で(6ヶ月までに)、ツベルクリン反応検査を省略してBCG接種が行われるようになりました。確率的には小さいとはいえ、既感染者にBCG接種を接種する可能性があり、この場合に生じる早期の強い反応(コッホ現象)に注意が必要です。

  • 参考1 予防接種に関するQ&A集(2007) 細菌製剤協会、国立感染症センター
    小児内科 Vol.39 No.10 2007 小児内科 特集「予防接種Q&A」
  • 参考2 アメリカの推奨予防接種スケジュール(2008)

B型肝炎(HepB)、ロタ(Rota)、3混(DTaP)、インフルエンザ桿菌ワクチン(Hib)、肺炎球菌ワクチン(PCV)、不活化ポリオ(IVP)、インフルエンザ、MMR、水痘、A型肝炎ワクチン(HepA)が推奨されています。日本に比べて、多種類のワクチンが行われています。近年の麻疹の流行を考える時、我が国のワクチン政策と比較して、検討し、参考にすべきものがあると考えます。