診療案内

Medical guidance

小児呼吸器感染症について

小児科医 ( 副院長 ) : 中田成慶

子どもの感染症・熱性疾患の流行のパターンも今年の夏は独特で、O-157はやや多発したようですが、夏かぜや無菌性髄膜炎などの流行が例年になく極端に少ないのが特徴でした。
学会レベルで、各種疾患のガイドラインが出されています。その名で、今回は日本小児呼吸器疾患学会・日本小児感染症学会の「小児呼吸器感染症 診療ガイドライン」(2007年4月発表)を紹介します。

「小児呼吸器感染症 診療ガイドライン 2007」は、これまでのガイドライン2004に、新たな研究の成果と知識を加え、改定したものです。

原因微生物不明時の小児初期抗菌療法(ガイドライン2007)

  1. A.軽症肺炎(外来)
    • 2ヶ月~5歳:AMPC(経口AMPC単独)±CAV(またはオーグメンチンかクラバモックス) or SBTPCpo(経口ユナシン)あるいは広域セフェムpo(代表経口薬…メイアクト、フロモックス、トミロン)
    • 6歳以上:マクロライドpoあるいはテトラサイクリンpo(8歳までの小児にはた他剤無効の場合に限る)
  2. B.中等症~重症(入院)
    • 2ヶ月~5歳:ABPC(ABPC単独)±SBT(またはユナシンS) or PIPCiv(ペントシリン)あるいは広域セフェムiv(代表注射薬 CTRX,CTX)
    • 6歳以上:ABPC(ABPC単独)±SBT(またはユナシンS) or PIPCiv(ペントシリン)あるいは広域セフェムiv(代表注射薬 CTRX,CTX)±マクロライドpo/divあるいはテトラサイクリンpo/div(8歳までは他剤が使用できないか無効な場合に限る)
  3. C.最重症
    • 6歳以上:マクロライドpoあるいはテトラサイクリンpo(8歳までの小児には他剤無効の場合に限る)

ガイドラインの特徴

ペニシリンの有効利用が重要視されています。クラバモックスの中耳炎以外への適用拡大が認められれば、気道感染症に対する経口ペニシリン剤の使用頻度がたかまり、→経口セフェムの使用が減少→セフェム耐性化の抑制につながることが期待されます。
テトラサイクリン(実際にはミノサイクリン)の使用については、8歳以下では、他剤が使用できない場合、及び他剤が無効な場合に限って使用することが明記されています。

重症度の分類の「軽症」肺炎とは

ガイドライン2007では肺炎の重症度分類が行われています。
「軽症」肺炎とは、全身状態が良好で、チアノーゼがなく、呼吸数が正常で、努力呼吸を認めず、肺レントゲン検査での肺炎の陰影が、一側の1/3以下、酸素飽和度96%以上、白血球数が乳児で4000~8000、幼児で2500~5500の、すべての項目を満たすものをいうとされています。実質、典型的なマイコプラズマ肺炎の一部を除いて、ほとんどの肺炎が、「軽症」ではなく、《中等症》に分類されることになりそうです。

「A群溶血性連鎖球菌による咽頭・扁桃炎の抗菌療法」ガイドライン2007

従来のペニシリン10日間が推奨されていますが、合わせて、経口セフェム5日間コースも記載されています。ペニシリン10日間投与1クール後になお菌陽性を示す場合や、10日間ではコンプライアンスに問題が生ずる症例では、セフェムの使用も推奨される治療法です。

  • 推奨される抗菌療法
    バイシリンG・・・・・・5万単位/kg/日 分3-4 10日間
    アモキシシリン・・・30-60mg/kg/日 分2-3 10日間(保健適応は40mg/kgまで)
    メイアクト・・・・・・・・・・・・9mg/kg   分3    5日間
    フロモックス・・・・・・9-18mg/kg/日       5日間
    • 海外では、アモキシシリン50mg/日、分1、10日間が有効との報告がある。
    • アモキシシリン100mg/kg/日 分2 5日間の試みもある。
    • 基本的には、ペニシリン系抗菌約が第1選択である。
    • セフェム系薬による治療は、除菌効果が優れるとの報告もあるが、異論もある。

細気管支炎、クループ

ガイドラインでは、細気管支炎の原因ウイルスとして、RSウイルス、メタニューモウイルスに加えて、ヒトボカウイルス(human vocavirus)を3番目の原因ウイルスとしてあげています。2005年に検出され、報告されたウイルスで、2才以下の細気管支炎の約10%がこのウイルスが原因であるとされています。
クループに対する治療としては、吸気性呼吸困難時には、デキサメサゾン0.2mg/kg 1日2回の静脈投与が推奨されています。(私たちは0.3mg/kgを1日2回使用しています。)